所在地 | 大阪府富田林市 |
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構造規模 | 木造2階建 |
延床面積 | 233.81㎡ |
竣工年 | 2012.03 |
photo | 絹巻 豊 |
受賞 | 第35回 大阪都市景観建築賞(大阪まちなみ賞)奨励賞 |
書籍紹介 | 建築人 2017年6月号 |
「富田林じないまち・木くま館」は伝統的建物が多く残る、大阪府下唯一の重要伝統的建造物群保存地区「富田林寺内町」に建つ大正期頃の伝統的建物です。 長い期間空き家となっていましたが、平成23年に地域材「おおさか河内材」を用いた新たな耐震補強法を導入した実証モデル施設として改修しました。 その目的は耐震性が十分でない既存木造建築物(在来軸組・伝統構法)の安全性を確保し、寿命をのばし、地域材等の利用促進に向け、木材を活かし、意匠性と強さを兼ね備えた耐震補強法を生み出すことです。 新たな耐震補強法とは、室内側には木質に優れた格子壁を見せ、伝統的木造住宅特有の床下空間には耐久性の高い面材貼り箱型梁を配し、また欄間空間にはデザイン性に優れた真壁仕様の面材箱型梁を配し、両箱型梁を既存の柱に結合することで、ロの字型の全体架構による粘り強い耐震抵抗性能に期待するものです。 この耐震補強法は伝統的な設えに馴染むように考えたものです。そのため耐震補強された内部空間もまちなみの連続から切り離されることなく利用者を迎えることが出来ます。 さらに、まちなみにもつながる新たな耐震補強法を多くの方に見て頂き、地域材を使った建物の良さや木造の耐震化について知っていただき、林業にかかわる事業者や、木を扱う作家・アーティスト・デザイナー、周辺のまちづくり団体、住民など、木を取り巻く人たちの発信の場、交流拠点とすることで地域の活性化やまちなみにつなげ、景観に寄与します。